ドイツ発祥のパッシブハウスとは?そのメリットとデメリットについて

日本とヨーロッパでは、住宅事情に違いがあります。
日本では壁や窓など建物自体の性能を高めるよりも、季節に応じてエアコンや床暖房などの設備で補うことが一般的です。特に日本の住宅性能で問題視されているのが「窓」で、熱を通しやすい材料が使われている事例が9割あり、これは世界的に見てもかなり遅れていると言われています。

一方ヨーロッパでは、そういった高性能な冷暖房器具を使わなくても快適に過ごす仕組みが浸透してきています。それが「パッシプハウス」です。この記事では、パッシブハウスについて解説していきます。

目次

ドイツ発祥のパッシブハウスとは

1.建物自体の質を高めるパッシブハウス

みなさんは「パッシブハウス」という言葉を聞いたことがありますか?
パッシブハウスとは、ドイツで誕生した省エネルギー住宅のことです。
気密・断熱性能を最大限に高め、自然の力を活用することで、最小限のエネルギーで快適な居住環境を実現することができます。

パッシブハウスの基本性能は、1991年、ドイツのパッシブハウス研究所により世界基準で確立されており、それは日本の一般的な新築住宅よりも2~3倍ほど高い断熱性能が求められています。
建物自体の性能を上げることにより高性能の冷暖房器具の使用が不要になることから、「パッシブ(passive:受身の)」の名が付けられました。
同研究所が定めたエネルギー消費基準を満たし、認定を受けた建築物だけを「パッシブハウス」と呼ぶことができます。
現在、西ヨーロッパを中心とした国々で普及しており、一般的になりつつあります。

パッシブハウスのイメージ図 Passivhaus_section_en.jpg: Passivhaus Institutderivative work: Michka B, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

パッシブハウスの最大の特徴は「窓」です。
南面に大きな掃き出し窓を採用することで、冬に南面から太陽の光を部屋に入れることができ、自然暖房の役割を果たしてくれます。
また、建物北側の最も高い位置に高所窓を設け、夏にその窓を開けることで、家にこもった熱気を自然の力で外に出すこともできます。

2.パッシブハウスが生まれた経緯と由来

ドイツでは、第二次世界大戦後の酸性雨の影響により、ドイツ南西部にある山岳地帯の「Schwarzwald(黒い森)」の森林枯死が深刻化しました。
それにより環境意識が高まり、1980年代に緑の党と呼ばれる環境政党が発足したことをきっかけに、本格的な環境保護活動が開始されました。
そこで注目したのが住宅エネルギーです。

eliasphotographyによるPixabayからの画像

ドイツでは、暖房を稼働させる期間が10月1日から4月30日と決められており、それ以外の期間でも「3日以上外気温が12度以下の場合、暖房を稼働させなければいけない」という目安もあるそうです。
これらの期間中ずっと暖房を稼働させていては、相当なエネルギーを消費します。

当時、住宅一戸あたりで使用するエネルギー量は日本の倍以上であったとも言われています。
これらの背景から、建物自体の性能を上げることで暖房なしでも快適に過ごせることを目的に、パッシブハウスの考えが普及されるようになりました。

Image by Teodor Muntean from Pixabay

3.パッシブハウスのメリット

パッシブハウスは環境意識を高めるために生み出されたものであるため、余分なエネルギーを使わず環境保護に繋がることは言うまでもないのですが、その他にも様々なメリットがあります。

その1つが、「光熱費の削減」です。
「Zentralheizung(集中暖房)」という暖房設備が普及しているドイツでは、冬場、外が寒くても家の中はどこにいても暖かいため、快適に過ごせることは当たり前でした。
ただしその反面、使用するエネルギー量は膨大なため、それに比例して光熱費もかかってしまいます。

一方でパッシブハウスは高断熱・高気密なため、冷暖房効率が非常に良く余計な光熱費がかかりません。
また、「健康にいい」こともメリットと言えるでしょう。
トリプルガラスや断熱材を取り入れたパッシブハウスは、外気の影響を受けづらく、フローリングや壁、天井、窓壁の表面温度が整うことで部屋の中の温度ムラが無くなります。
その結果、余計な対流がなくなり身体に負担がかからなくなります。よって過乾燥などを防ぐことができます。
夏は涼しく、冬は暖かいパッシブハウスでは1年を通して快適に過ごせるため、家の中で過ごす時間も有意義なものにしてくれます。

4.パッシブハウスのデメリット

一見メリットだけに見えるパッシブハウスですが、デメリットも存在します。
それは「建築費が高い」ことです。
パッシブハウスを建てるには高性能な断熱材料が必要になってくるため、一般的な建物よりも数倍高くなってしまいます。

建物の大きさやその他の仕様によりますが、坪単価にすると大体60~80万円くらいです。
ただし、高品質な断熱材が使われているパッシブハウスの耐久性は100年以上持つとも言われており、また、住んでからかかってくる光熱費や健康面を考えると、長期的にみて建築費以上の恩恵を受けられるのではないでしょうか。

5.まとめ

エコの観点で語られることの多いパッシブハウスですが、環境保護に貢献できるだけでなく、このように光熱費の削減や健康維持など私たちの生活をより豊かにしてくれる仕組みなのです。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

コメント

コメントを残す

目次
閉じる